元JRAのトップジョッキーで、現在は調教師になられた福永祐一さんの初の著書。
筆者は幼い頃からかれこれ25年以上は競馬を見ているが、20年前ぐらいの福永祐一騎手のイメージは、失礼ながら「なんでこんな良い馬に乗ってるのによく詰まるんだ」だった。
特に2005年のオークスのシーザリオは、お世辞にも上手い騎乗とは言えず、馬の力を鑑みれば、正直もっと楽に勝てていたと今でも思っている。
ただある時期から、福永さんは明らかに考えて競馬に乗っているという感じが伝わってくる騎乗が増えたと感じており、その積み重ねとして花開いたのが、2018年のワグネリアンの日本ダービーだったように思う。
そしてそのダービーから、押しも押されもせぬ超一流騎手へと脱皮した印象を持っている。
超一流の騎手へ駆け上って行ったプロセスをどのようにして育まれていったかが書かれている本だ。
そして福永さんは調教師としての歩みをスタートしたが、この3ヶ月ぐらいのプロセスを見ても、騎手の起用法や栗東所属馬としては異例の美浦トレセンでの調教など、今までの常識にとらわれない姿を見るに、彼は間違いなく超一流の調教師になるだろうと確信している。
常識を疑い、日々考え、試行錯誤し努力することの大切さを教えてくれる本である。
競馬をよく知らない人が読んでも、現状上手く行ってないことがある人は、それを解決するためのプロセスのヒントを得られるのでは無いか。

